会社設立>>会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)
会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)第2部株式会社第1設立1設立の手続
 
(1) 定款の絶対的記載事項
定款の絶対的記載事項は、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額並びに発起人の氏名又は名称及び住所に限定された(会社法第27条)。
発行可能株式総数、設立時発行株式の数又は会社の公告方法を原始定款で定めていないときは、発行可能株式総数及び設立時発行株式の数については(3)の手続により決定するとされ、会社の公告方法については官報に掲載する方法とするとされた(会社法第939条第4項)。
(2) 最低資本金制度の廃止
資本の額は1000万円を下ることができないとする最低資本金制度(旧商法(明治32年法律第48号)第168条ノ4参照)は、廃止された。
なお、設立時の資本金の額に関する事項は、発起人の全員の同意により定めなければならず(会社法第32条第1項)、その額は、会社法第445条及び計算規則第74条第1項に定めるところによる(第4の2参照)が、0円となる場合もあり得る。
(3) 設立時発行株式の数及び発行可能株式総数の決定方法
設立時発行株式の数の定めが定款にないときは、発起人全員の同意により、これを定めなければならないとされた(会社法第32条第1項、第58条第1項、第2項)。
発行可能株式総数の定めが定款にないときは、設立過程における株式の引受状況等を踏まえて、会社の成立の時までに、発起設立にあっては発起人全員の同意により、募集設立にあっては創立総会の決議により、定款を変更してその定めを設けなければならないとされた(会社法第37条第1項、第2項、第98条)。
公開会社における設立時発行株式の数は、旧商法と同様に、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない(会社法第37条第3項)。
なお、設立時発行株式の数の決定方法に関する改正に伴い、出資の履行をしない発起人も、払込みをしない設立時募集株式の引受人と同様に、設立時発行株式の株主となる権利を失うとされ(会社法第36条第3項、第63条第3項)、発起人及び会社成立時の取締役の引受・払込担保責任(旧商法第192条第1項、第2項参照)は、廃止された。
(4) 検査役の調査を要しない現物出資財産等の範囲の拡大
ア現物出資の目的である財産又は会社成立後に譲り受けることを約した財産(会社法第28条第1号、第2号。以下「現物出資財産等」という。)について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合には、その資本金の額に対する割合を問わず、検査役の調査を要しないとされた(会社法第33条第10項第1号)。
イ現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券について定款に記載された価額が当該有価証券の市場価格(定款の認証の日における最終市場価格(当該日に売買取引がない場合等にあっては、その後最初にされた売買取引の成立価格)又は公開買付け等に係る契約における価格のうちいずれか高い額)を超えない場合には、取引所の相場のあるものでなくても、検査役の調査を要しないとされた(会社法第33条第10項第2号、施行規則第6条)。
市場価格のある有価証券には、証券取引所に上場されているもののほか、店頭登録株式(外国の店頭登録を含む。)、日本証券業協会のグリーンシート銘柄株式等が該当する。
(5) 発起設立の場合における払込金保管証明の義務の廃止
出資に係る金銭の払込みは、旧商法と同様に、発起人が定めた銀行等(以下「払込取扱機関」という。)にしなければならないが、発起設立について、払込取扱機関の払込金保管証明の義務は、廃止された(会社法第34条第2項、第63条第1項、第64条)。
(6) 設立時役員等の選任
設立中の会社における設立時役員等という概念が設けられ、発起設立にあっては発起人の議決権の過半数により、募集設立にあっては創立総会の決議により、1名以上の設立時取締役(取締役会設置会社においては、3名以上の設立時取締役)を選任し、設立しようとする会社が会計参与設置会社、監査役設置会社又は会計監査人設置会社であるときは、それぞれ設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人を選任しなければならないとされた(会社法第38条から第40条まで、第88条)。
また、設立時取締役は、その過半数をもって、設立しようとする会社が、取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)であるときは設立時代表取締役を選定し、委員会設置会社であるときは設立時委員、設立時執行役及び設立時代表執行役を定めなければならないとされた(会社法第47条、第48条)。
(7) 創立総会及び種類創立総会
ア招集手続の簡素化
(ア) 招集通知の発送期限
創立総会(種類創立総会を含む。以下同じ。)の招集通知は、設立しよう
とする会社が公開会社でない場合には、会日の1週間(取締役会設置会社でない場合において、これを下回る期間を定款で定めたときは、その期間)前までに発すれば足りるとされた(会社法第68条第1項、第86条)。
(イ) 招集地
創立総会の招集地について、原則として本店の所在地又はこれに隣接する地であることを要する旨の制限(旧商法第180条第3項、第233条参照)は、廃止された。
イ創立総会の議事録
創立総会の議事録は、出席した発起人、設立時取締役その他の役員の氏名又は名称等を内容としなければならないとされ(施行規則第16条第3項、第17条)、議長及び出席した取締役の署名又は記名押印の法律上の義務(旧商法第180条第3項、第244条第3項参照)は、廃止された。
ウ創立総会の決議の省略の制度の創設
創立総会についても、株主総会と同様に(会社法第319条、旧商法第253条参照)、決議の省略の制度が創設され、発起人が創立総会の目的である事項について提案した場合において、当該提案につき設立時株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の創立総会の決議があったものとみなすとされた(会社法第82条、第86条)。
この場合には、決議があったものとみなされた事項の内容等を内容とする議事録を作成するとされた(施行規則第16条第4項第1号)。
(8) 会社成立前における定款の変更
公証人の認証を受けた定款は、会社の成立前は、次の場合を除き、変更することができないとされた(会社法第30条第2項)。
ア裁判所が現物出資財産等についての定款の記載事項を不当と認め、これを変更する決定をした場合(会社法第33条第7項)
イアの決定の確定後1週間以内に、発起人の全員の同意により、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する場合(会社法第33条第9項)
ウ(3)により発行可能株式総数の定めを設け、又は変更する場合(会社法第37条第1項、第2項)
エ創立総会の決議による場合(会社法第96条)
ただし、発起設立の場合において、変更に係る事項を明らかにし、発起人が署名又は記名押印した書面に公証人の認証を受けたときは、変更後の定款による設立登記の申請を受理して差し支えない(昭和32年8月30日付け法務省民事甲第1661号当職回答参照)。
(9) 設立時取締役及び発起人の権限の見直し
設立中の会社における業務執行の決定は、原則として発起人が行うとされ、定款に別段の定めがない場合には、設立時取締役は、設立時代表取締役又は設立時委員の選定その他会社法に規定のある事項に限り、業務執行の決定を行うとされた。
したがって、会社の成立前は、定款記載の最小行政区画内における本店の所在場所の決定、支店の所在場所の決定、支配人の選任、株主名簿管理人の決定等は、定款に別段の定めがない限り、発起人の議決権の過半数によることとなる。
 

   
 会社設立用語 | 公証役場 | 法務局 | 法令 | 会社法 |